部門委員会の歴史

本部門委員会の歴史は、1960年代前半に設立された「半導体物性等研究会」 に遡ります。この研究会は、当時に半導体の先駆け的な研究を開始された大阪 大学の 山口次郎教授 が、この分野の飛躍的な研究の進展を期して、研究者の 最新の研究成果の発表・討論と情報交換を目的に設立されたものであります。 1960年代というと半導体の黎明期にあり、研究者人口も少ない時代でしたので、 手探りの議論が熱心に繰り広げられたものと推察されます。この研究会はその 後30年以上にわたり、関西を中心に1年に数度開催され、半導体技術の飛躍的な 進展と時を合わせて、先進的な研究推進の原動力になりました。あわせて、こ の分野で活躍する多くの人材育成につながりました。

しかし1997年1月に山口次郎教授(当時大阪大学名誉教授、摂南大学名誉教授)が ご逝去され、この「半導体物性等研究会」は支えを失ってしまいました。しか し、この研究会が果たしてきた先駆的な活動の歴史を留め、またさらに一歩進 んだ活動につながることを期し、山口次郎教授の直接的なご指導を受けた大阪 大学の奥山雅則教授が中心となり、1998年10月にこの「半導体物性等研究会」 の伝統を引き継ぐ形で、本部門委員会を設立されました。

以来、本分門委員会は10年以上の歴史を有するに至りました。折しも、半導 体技術の急速な発展が、先端的研究成果の発表と討論の場として応用物理学会 の役割を大きくしました。その中で、手作りで行われてきた本分門委員会の活 動は、応用物理学会のような大きな組織的な活動の影に追いやられるような形 で、どうしても縮小せざるを得なくなってしまいました。

しかしながら、本部門委員会は長い歴史に支えられたものであり、多くの著 名な方々のお心意気の宿るところでもあります。このことに鑑み、応用物理学 会とは異なった形でこの分野の学術進展に寄与して行きたいと、今では考えて おります。その一つが、将来に向けた人材の育成を重視するということです。 若い人材の成長を優しく、同時に厳しく支えるという役割を一つのミッション ととらえ、学生・若手研究者の研究発表を奨励して、それに対して先輩の立場 の研究者が有益な示唆を与えてゆくことを大きな意義ととらえています。幸い、 「半導体物性等研究会」にご参加いただいた多数の著名な研究者が多数居られ ます。このような方々に、本部門委員会の活動へのご理解をいただき、研究会 にご参加いただいて厳しいご意見をいただくことを通じて、若い人材の成長を 支えていただくに至っております。

(記述:藤田静雄(京大))